研究レポートReport

第37回 内観力 『くるぶしにも秘密があったとは!』

骨整体・手首編が出来てから仕事の現場でもお客様の身体が劇的に良くなってい
った。 


特に、中高年の方々が骨整体を行うと、身体が軽く楽に動きはじめるので
歳だからと諦めていたのが嘘であった事実を知り、本当に素敵な笑顔に変わるの
が堪らなく嬉しかった。

そんなある日、腰が痛いという中年の女性の方を指導したときであった。

その方の身体を観た瞬間に、ふくらはぎ部分がやたら気になった。
椅子に座っていただき、ふくらはぎを触ってみるとガチガチに固まっていた。
パワールートから観ると、ふくらはぎ部分が原因ではなくて猫背が原因であった。

生活習慣病で、家事における炊事、洗濯、掃除などの作業はうつむき加減でする
ことになる。
前傾姿勢が長く続くと、頭の重さを支えようと首や肩や背中の筋肉に負担がかか
りだし 

その緊張を和らげるために身体は自然に背中を丸くしてしまう。

そして、腕の位置が体側よりも前にきてしまうことを『巻肩』というが
この状態になると両腕の重さを首や肩の筋肉で支えようとするために身体に負担
がかかり
その負担から逃げたいために背中を丸めてしまうことになる。

この状態を改善しないでいると、人間が立ったり、座ったり、歩いたりする時に
一番必要である、おしりの筋肉である大臀筋に力が入りにくくなるため動作が鈍
くなってしまうのだ。

そればかりではない、おしりの筋肉が上手く使えないということは退化すること
を意味する。

おしりの筋肉を使えないようになった分、身体のどこがカバーするかというと
太腿の前の筋肉である大腿四頭筋とふくらはぎ部分なのだ。

椅子から立つときに、声を出しながら、"よっこらしょ~"と前傾しながら立つ
ときに 

身体は物を言わぬが、股関節や膝関節、ふくらはぎが懸命に動いてくれているの
だ。

しかし、この動作を続けることで確実に、股関節痛や膝関節痛を起こす原因にな
ってしまう。

そして、ふくらはぎ部分が硬くなるということは第二の心臓といわれているふく
らはぎの血流を悪くすることになる。
また、足首の関節に負担をかけることにもなるので足首特有のバネがなくなって
しまい動くことが難しくなってしまうのだ。

さらにこの悪循環を野放しにすると、腿の内側である内転筋が衰えて
いわゆる"がに股"になり、ますます膝の外側に負担がかかり骨に負担がかかり
痛みが発生してしまう。

私の経験からも、足首の固い人は腰痛になりやすい。

原因を改善するために姿勢改善を行うのは骨整体・手首編で十分なのだが
足首周りや、下半身をよりほぐすために何か良い方法がないかと考えていた。

まず、足首周りの柔軟性を改善させるためにふくらはぎ部分の硬化を取った後、
足首を回して欲しいとお願いするのだが自力ではなかなか上手く回すことが出来
ない状態であったので
何気なく、くるぶしを押さえながら私が回してあげるとウソのようにスムーズに
回りはじめたのだ。

外回し、内回しと動かしてみるのだが回せば回すほど楽に軽く回る。
そして、フッ~とくるぶしを押さえている自分の指を観たところ
なんと、親指と小指で押さえていたのであった。

おそらく自然に『癖』で親指と小指で押さえていたのであろう。

両足首を回してから、お客様に歩いてみて欲しいとお願いしたところ
あまりの足の軽さに驚いてしまったようで何と笑顔で走りはじめてしまったでは
ないか。 


"私の身体じゃないみたい、、、身体がこんなに軽く楽に動くなんて!!"

全身の筋肉バランスが整ったら、痛みのない元のいい状態に戻られて
私もお客様と一緒に大喜びをした。

この事があり、仕事が終わった後に早速、くるぶしを親指と小指で押さえながら
いろんな動作を次から次へと試してみるのだが体験している私自身が驚くほど劇
的に身体の柔軟性が向上する。
その柔軟性の向上の仕方が半端ではないからタマゲテしまった。

これが、骨整体・足首編の誕生であった。


先日も町内のファミリーバトミントンに家族で参加をしてきたのだが
寒い季節、ケガしないようにと念入りにアキレス腱伸ばしを大会本部の方が指導
しておられたが
誰一人として疑うことなくアキレス腱伸ばしを行っていた。

唯一、私の家族だけは、アキレス腱を伸ばすフリをしていた。

アキレス腱だけを伸ばすのではなくて、身体全体のバランスを考えたほぐし方を
した結果
アキレス腱もほぐれた形になっていることが望ましい。

アキレス腱伸ばしをした後、歩いてみたら分かることだが身体が重くて動きにく
くなっている。
また、アキレス腱伸ばしをした後に、腕を回してみると分かるのだが腕が重くて
回りにくくなっている。

ここで大切なことは、アキレス腱を伸ばしたら腕を回す動作まで影響が出ている
という事実である。
足の部分だけを半ば無理やり伸ばすことで、なぜ、直接関与していない腕の動き
が悪くなるのか?

答は、筋肉は全身に繋がっているからである。

足首だけ、手首だけ、その部分だけをいくら念入りに伸ばしたところで
身体全体のバランスから観れば逆効果になっているのだ。

一般の方に分かりやすく説明するならば布団などに引くシーツを思い出して欲し
い。

二人で、シーツの両端を持ち、シーツを綺麗に張った状態をスタートとして
片方の人の例えば右側だけ引っ張るとシーツの形はどうなるだろうか
明らかに歪な形になり、相手側の右手にも負担がかかるのがお分かりになると思
う。

アキレス腱伸ばしをして、身体のバランスが崩れてしまうのもこの状態と同じな
のである。

以前、ウエイトトレーニングで部分部分を鍛えることに意味はないと書いたこと
と同じで
身体全体を考えた鍛え方やほぐし方をしなければ、かえってバランスを崩すこと
になりケガの原因になるのだ。


人間の身体は筋肉だけがある訳ではない。

そろそろ筋肉信仰をやめて、人間の身体の持つ本当の力に目覚めて欲しいもので
ある。 


次回の内観力は、『人間の身体の不思議さを体感する!』です。12月20日の
予定です。

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