研究レポートReport

第3回 内観力 『ウェイトトレーニング編 No .1』

私が初めてバーベルを握ったのが高校1年生だった。
ウエイトトレーニングに興味を持ったのは忘れもしない中3の冬に見た映画『ロッキーⅢ』だった。
スクリーンに映るシルベスター・スターローンの筋肉に目が釘付けになった。 
その頃の私は、筋肉=パワー(強さ)と何の疑いもなく思っていた。 筋肉が付けば記録が伸びると思い込みウェイトトレーニングに励んだ。高校に入ってから先輩に教わったウェイトトレーニングは、 ベンチプレス・スクワット・デットリフト・レッグカール・カーフレイズ・他いろいろ教わった。 鏡に映るたくましくなってきた自分の身体を見て妙にうれしかったのを覚えている。 
ウェイトトレーニングを続けていくと走る練習の時に地面を蹴る力が付いたようにな気がした。 力強くパワーで走っているようにも思えた。 

当時よく言われていたのがふくらはぎの強化であった。
ダッシュ力をつけるにはふくらはぎで地面を強く蹴るのだと言われた。 不幸中の幸いであったのが私のふくらはぎは余り大きくならなかった事だ。 なぜか、カーフレイズ(ふくらはぎを鍛える種目)は嫌いだった。 身体は間違いなく嫌がっていたのだろう。 

ある程度の重さを上げられるようになってくると先輩から、 付けたい筋肉の部分を意識しながら行うと良いと言われた。 例えばベンチプレスの時は大胸筋を意識するとか、 アームカールの時は上腕二頭筋を意識することによって、 よりその部分の筋肉を強化しようと意図だ。 

今では簡単に分かることだが、この時すでにメリット、デメリットが発生する。 
メリットとは筋肉を意識することによって内観力(内部感覚)を養えること。 
デメリットは筋肉を筋肥大させて固めてしまう硬化現象のことだ。

ボディビルの選手は筋肥大が目的なのだから何の問題はない。
しかし、スポーツ選手にとっては大事な動作を妨げる要因にもなってしまう。
競技に関係のない筋肉をたくさん付けすぎて逆に動けなくなり、 競技人生を短くしてしまう選手が後を立たない。

高校時代の私が上げる重量ではここまでの支障はまだ受けてはなかったが、 後々、全く走れなくなってしまうほどのボロボロの身体に自分自身がなるとは、 この時の私は知る余地もなかった。 自分の意識で筋肉を動かすことにより、身体全体をコントロールしやすくしようとした。 私自身はかなりの遠回りをしてしまったが自分の身体を意識して動作することへの、 第一歩は間違いなくウェイトトレーニングだった。
高校時代のウェイトトレーニングでは筋肉を意識して使いこなせるレベルは当然なかった。
大学時代、ケガばかりした私の唯一出来るトレーニングがウェイトトレーニングしかなかった。

次回の『内観力』は私が大学時代に行ったウェイトトレーニングでつかんだ動作意識をお伝えしたい。

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