第42回 内観力 ~からだの声を聞く~ No .3 『腕振りを再検証してみる』
”腕をしっかり振らないと走れないぞ~!”
昔から言われ続けているが本当にそうなのだろうか?
私も現役時代は、腕振りをしっかりと意識して走っていた。
それもジョギングの時から一生懸命に振りながら走っていた。
スタンディングの姿勢で、ダンベルを持ちながら腕振りのトレーニングをしたり
両膝を立てた状態で仰向けに寝て、上体を45度くらいにした状態で腕振りをさせられた。
『ラストスパートは腕振りで決まる!』
当時は、何の疑いも持たずに真剣にトレーニングしていたが
まさか体幹部との連動動作を止めているとは夢にも思わなかったのである。
ここで、腕のおもさについて確認しておきたい。
片腕のおもさで体重の約5%と言われている。
例えば、体重が60㎏の人で約3㎏になる。
両腕だと約6㎏のおもさになる訳でかなりのおもたさである。
この事を頭に入れて戴きながら次の実技をして頂きたい。
まず、肩幅に立っていただいたら右腕、左腕と後方に3回ほど腕をまわしていただき
それぞれの腕のまわしやすさや可動域などを覚えておいて欲しい。
では、腕振りを20回くらい行ってみて戴きたい。(スピードは、やや速めくらいで)
終わったら、腕をまわし比べてみて欲しい。
腕振りをする前の腕のまわしやすさや可動域を比べると
明らかに腕をまわすのがおもだるい感じと可動域も狭くなっていると思う。
そして、歩いてみて戴きたいのだが足が前に進みにくくなってはいないだろうか?
前方に速く進むために腕振りを行っているのに
腕振りのトレーニングを行うと逆に肩回りの柔軟性は低下し可動域も低下している。
一番、肝心な前方への移動も進みにくくなってしまっている。
これでは何のためにトレーニングしているのか分からない。
そもそも、腕を振った力で体幹部を移動させることなど無理なのである。
いくらダンベルやバーベルを使って腕の筋肉をつけたところで
腕の筋肉は身体の中で一番小さい筋肉なのだ。
腕を動力源にしようとしても身体の構造上どだい無理な話である。
簡単に言うと、あなたの体重が60㎏としたら腕のおもさは片腕で約3㎏なので
両手に3㎏のダンベルを持って腕振りをしてみたらいい。
いかに身体に、ただ負担をかけているかが身に沁みて分かるはずだ。
”腕は振るものではなく、振られるものである”
体幹部で作られた力を末端部である腕に力を流す結果、
腕が動くのが自然の力の流れなのだ。
もし、腕を力で振ろうとした場合、腕が体幹部の後方に移動してしまうが
腕を後の位置から前の位置まで戻すのに時間が掛かってしまう。
3㎏の重さを後方から前方に移動させるために使う力は一体どれくらのものだろうか?
この動作も一度、ダンベルなどを持って試してみると分かるはずだ。
そして、腕が後方から前方に戻りきるまでの時間差を
身体がどんな調整をしてくれているかを考えれば無駄なことをしている事に気付くはずである。
”腕を振ることで、実は、走りのバランスを崩してしまっていることに早く気付いて欲しい。”
少し前にテレビで観たのだが、
五体不満足の乙武 洋匡さんがプロ野球の始球式をされていた。
見事なボールを投げられた後、お辞儀をされマウンド降りてベンチに向かわれた。
乙武さんのお付き添いをされていた方と一緒にベンチに歩いて戻るのだが
手足がない乙武さんの方が健常者であるお付き添いの方よりも先に早く戻られたのである。
(少し失礼な言い方になることをお詫び致します。)
私は、この姿を観て、乙武さんの方がよっぽど素晴らしい身体動作をされていると思った。
骨盤や肩甲骨を巧みに使い、無理と無駄のない動作を観て感動した。
私が、『誰でも速く走れる骨ストレッチ』の本の中で、
下敷きやコピー用紙などを脇に挟んで走ることを薦めているのは
腕を使うよりも体幹部(骨盤・肩甲骨・鎖骨)をうまく動かした方が楽にスムーズに前方移動できるからである。
そして何よりも腕を単体で使おうとすると体幹部との連動が出来なくなる。
腕を使うのは筋肉をつけて『力』を出す部分としてではなく、
腕のおもさを活用することで『動力』を生み出す部分として使った方が理に適っている。
長距離選手であれば、全盛時代の高橋 尚子選手のように腕をまるで『でんでん太鼓』のように使うといい。
それだけではなく、腕のおもさを体幹部の前方に持ってくるだけで、
そのおもさを活用して前方移動への動力源した方が明らかに有利になる。
走るときに身体の前方に片腕がきていれば60㎏の人で約3㎏のおもさを利用できるのだ。
つまり、自然な重心移動をしたければ腕も同行させればいいだけ。
短距離選手であれば、北京オリンピックのウサイン・ボルト選手のように
鎖骨をうまく使い、腕のおもさを活用して真下に落とすような感じで使うといい。
例えば、ペットボトルの2Lを片手で持ち、
耳の高さから地面に落としてみたら、いかにすごい力が出ているのかが分かることと思う。
腕のおもさをうまく活用して、そのおもさを上から下に落とすように使うだけで
ものすごい力が出ていることに気付いていない方が非常に多い。
武術の動作でもゴルフの動作でも、腕を『錘(おもり)』として使っている人は出来る人であり
素人ほど、腕に筋肉をつけすぎてしまい間違った『力』の出し方をしてケガをしている。
ゴルフの選手ほど、腕を『錘(おもり)』として使って欲しいのだが
残念ながら、今、主流の打ち方では腕の力に頼らなければ打てない打ち方のためケガをしている人が殆どである。
本当に、飛距離を出したいのであれば両腕をブランブランにするだけで
勝手にヘッドスピードは上がり飛距離も伸びる。
後は、体幹部との連動性が繋がっている動作であれば間違いない。
今、流行の体幹部トレーニングに精を出している人ほど
肩関節まわりを固めてしまっているので腕本来の動きを導き出すことが難しくなっている。
鏡に映っている『腕』の部分が腕だと思っている人は
残念だが本当の『腕』の動かし方、使い方を知らない。
腕を上げる、下げる、まわす、、、
いろんな動作ができる『腕』だが、実はいろんな身体の部分と繋がり連動性が非常に高い。
しかし、ウェイトトレーニングでよく見られる腕単体で鍛えるトレーニングでは連動性が失われてしまう場合が殆どである。
”腕は意識の仕方ひとつで重たくもできるし軽くもできる。”
計測器や筋電図には出てこない意識の変化で、自由自在に動かすことができる腕の凄さ!
この腕の素晴らしい動作を導き出すためには、筋肉を固めるのではなく緩めていくことが基本になる。
私は、講習会で身体を解く方がいいと常々お伝えしている。
身体を解いていけばいくほど腕をまわす感覚が変わってくる。
それは、腕だけをまわしていた人が身体全体で腕をまわすことを実感するからである。
今まで、いかに腕だけを使ってきたのかを知ることで
身体全体のコンビネーションを無視してきたこと確認していただく。
手首や肘、肩を痛めてしまう人は、腕を単体で使うことで起こってしまう事を知って欲しいと思う。
”腕を率先して使うのではなく、腕の自由度をなくし、腕にでしゃばらせないように制御すること。”
腕を制御して動作しようとすれば、おのずと体幹部が動かなければ動作をすることが出来ない。
陸上選手でバトンを持って走った方がいい走りをする選手が多いのはこの理由のため。
神経が発達して数も多い”でしゃばりの腕”。
この腕の使い方ひとつでパフォーマンスが劇的に変わる。
腕を振る動作ひとつ変わるだけで走り方も劇的に変わる。
腕のおもさを実感して戴きながら
その腕のおもさを『錘(おもり)』として使うことを是非オススメしたい。
昔から言われ続けているが本当にそうなのだろうか?
私も現役時代は、腕振りをしっかりと意識して走っていた。
それもジョギングの時から一生懸命に振りながら走っていた。
スタンディングの姿勢で、ダンベルを持ちながら腕振りのトレーニングをしたり
両膝を立てた状態で仰向けに寝て、上体を45度くらいにした状態で腕振りをさせられた。
『ラストスパートは腕振りで決まる!』
当時は、何の疑いも持たずに真剣にトレーニングしていたが
まさか体幹部との連動動作を止めているとは夢にも思わなかったのである。
ここで、腕のおもさについて確認しておきたい。
片腕のおもさで体重の約5%と言われている。
例えば、体重が60㎏の人で約3㎏になる。
両腕だと約6㎏のおもさになる訳でかなりのおもたさである。
この事を頭に入れて戴きながら次の実技をして頂きたい。
まず、肩幅に立っていただいたら右腕、左腕と後方に3回ほど腕をまわしていただき
それぞれの腕のまわしやすさや可動域などを覚えておいて欲しい。
では、腕振りを20回くらい行ってみて戴きたい。(スピードは、やや速めくらいで)
終わったら、腕をまわし比べてみて欲しい。
腕振りをする前の腕のまわしやすさや可動域を比べると
明らかに腕をまわすのがおもだるい感じと可動域も狭くなっていると思う。
そして、歩いてみて戴きたいのだが足が前に進みにくくなってはいないだろうか?
前方に速く進むために腕振りを行っているのに
腕振りのトレーニングを行うと逆に肩回りの柔軟性は低下し可動域も低下している。
一番、肝心な前方への移動も進みにくくなってしまっている。
これでは何のためにトレーニングしているのか分からない。
そもそも、腕を振った力で体幹部を移動させることなど無理なのである。
いくらダンベルやバーベルを使って腕の筋肉をつけたところで
腕の筋肉は身体の中で一番小さい筋肉なのだ。
腕を動力源にしようとしても身体の構造上どだい無理な話である。
簡単に言うと、あなたの体重が60㎏としたら腕のおもさは片腕で約3㎏なので
両手に3㎏のダンベルを持って腕振りをしてみたらいい。
いかに身体に、ただ負担をかけているかが身に沁みて分かるはずだ。
”腕は振るものではなく、振られるものである”
体幹部で作られた力を末端部である腕に力を流す結果、
腕が動くのが自然の力の流れなのだ。
もし、腕を力で振ろうとした場合、腕が体幹部の後方に移動してしまうが
腕を後の位置から前の位置まで戻すのに時間が掛かってしまう。
3㎏の重さを後方から前方に移動させるために使う力は一体どれくらのものだろうか?
この動作も一度、ダンベルなどを持って試してみると分かるはずだ。
そして、腕が後方から前方に戻りきるまでの時間差を
身体がどんな調整をしてくれているかを考えれば無駄なことをしている事に気付くはずである。
”腕を振ることで、実は、走りのバランスを崩してしまっていることに早く気付いて欲しい。”
少し前にテレビで観たのだが、
五体不満足の乙武 洋匡さんがプロ野球の始球式をされていた。
見事なボールを投げられた後、お辞儀をされマウンド降りてベンチに向かわれた。
乙武さんのお付き添いをされていた方と一緒にベンチに歩いて戻るのだが
手足がない乙武さんの方が健常者であるお付き添いの方よりも先に早く戻られたのである。
(少し失礼な言い方になることをお詫び致します。)
私は、この姿を観て、乙武さんの方がよっぽど素晴らしい身体動作をされていると思った。
骨盤や肩甲骨を巧みに使い、無理と無駄のない動作を観て感動した。
私が、『誰でも速く走れる骨ストレッチ』の本の中で、
下敷きやコピー用紙などを脇に挟んで走ることを薦めているのは
腕を使うよりも体幹部(骨盤・肩甲骨・鎖骨)をうまく動かした方が楽にスムーズに前方移動できるからである。
そして何よりも腕を単体で使おうとすると体幹部との連動が出来なくなる。
腕を使うのは筋肉をつけて『力』を出す部分としてではなく、
腕のおもさを活用することで『動力』を生み出す部分として使った方が理に適っている。
長距離選手であれば、全盛時代の高橋 尚子選手のように腕をまるで『でんでん太鼓』のように使うといい。
それだけではなく、腕のおもさを体幹部の前方に持ってくるだけで、
そのおもさを活用して前方移動への動力源した方が明らかに有利になる。
走るときに身体の前方に片腕がきていれば60㎏の人で約3㎏のおもさを利用できるのだ。
つまり、自然な重心移動をしたければ腕も同行させればいいだけ。
短距離選手であれば、北京オリンピックのウサイン・ボルト選手のように
鎖骨をうまく使い、腕のおもさを活用して真下に落とすような感じで使うといい。
例えば、ペットボトルの2Lを片手で持ち、
耳の高さから地面に落としてみたら、いかにすごい力が出ているのかが分かることと思う。
腕のおもさをうまく活用して、そのおもさを上から下に落とすように使うだけで
ものすごい力が出ていることに気付いていない方が非常に多い。
武術の動作でもゴルフの動作でも、腕を『錘(おもり)』として使っている人は出来る人であり
素人ほど、腕に筋肉をつけすぎてしまい間違った『力』の出し方をしてケガをしている。
ゴルフの選手ほど、腕を『錘(おもり)』として使って欲しいのだが
残念ながら、今、主流の打ち方では腕の力に頼らなければ打てない打ち方のためケガをしている人が殆どである。
本当に、飛距離を出したいのであれば両腕をブランブランにするだけで
勝手にヘッドスピードは上がり飛距離も伸びる。
後は、体幹部との連動性が繋がっている動作であれば間違いない。
今、流行の体幹部トレーニングに精を出している人ほど
肩関節まわりを固めてしまっているので腕本来の動きを導き出すことが難しくなっている。
鏡に映っている『腕』の部分が腕だと思っている人は
残念だが本当の『腕』の動かし方、使い方を知らない。
腕を上げる、下げる、まわす、、、
いろんな動作ができる『腕』だが、実はいろんな身体の部分と繋がり連動性が非常に高い。
しかし、ウェイトトレーニングでよく見られる腕単体で鍛えるトレーニングでは連動性が失われてしまう場合が殆どである。
”腕は意識の仕方ひとつで重たくもできるし軽くもできる。”
計測器や筋電図には出てこない意識の変化で、自由自在に動かすことができる腕の凄さ!
この腕の素晴らしい動作を導き出すためには、筋肉を固めるのではなく緩めていくことが基本になる。
私は、講習会で身体を解く方がいいと常々お伝えしている。
身体を解いていけばいくほど腕をまわす感覚が変わってくる。
それは、腕だけをまわしていた人が身体全体で腕をまわすことを実感するからである。
今まで、いかに腕だけを使ってきたのかを知ることで
身体全体のコンビネーションを無視してきたこと確認していただく。
手首や肘、肩を痛めてしまう人は、腕を単体で使うことで起こってしまう事を知って欲しいと思う。
”腕を率先して使うのではなく、腕の自由度をなくし、腕にでしゃばらせないように制御すること。”
腕を制御して動作しようとすれば、おのずと体幹部が動かなければ動作をすることが出来ない。
陸上選手でバトンを持って走った方がいい走りをする選手が多いのはこの理由のため。
神経が発達して数も多い”でしゃばりの腕”。
この腕の使い方ひとつでパフォーマンスが劇的に変わる。
腕を振る動作ひとつ変わるだけで走り方も劇的に変わる。
腕のおもさを実感して戴きながら
その腕のおもさを『錘(おもり)』として使うことを是非オススメしたい。