第45回 内観力 ~からだの声を聞く~ No .6 『コツを掴むとは、”骨”を掴むこと』
ロンドンオリンピックが終わった。
見れる範囲でいろんな選手の動きを観て楽しんでいた。
それと同時に日本人選手の動きと比較していた。
特に、陸上競技での身体の動かし方の違いにはうつむくしかなかった。
一生懸命に前に進もう、進みたいという気持ちは嫌というほど画面から伝わってくるのだが
肝心要の身体の動きは悲鳴を上げていて苦しそうで苦しそうで壊れてしまわないかと心配した。
外人選手に勝つ為には、それ相応の筋力がないと勝てないということで
ウェイトトレーニングや補強(腹筋・背筋・腕立てなど)や体幹トレーニングを積み重ねてきたのであろう。
外見上は、逞しい身体になったのかもしれないが以前よりも『動ける身体』に進化したのかと問われればNOとしか言えない。
その答は、試合の結果が物語っている。
いくら筋肉をつけたとしても、その筋肉を使いこなしているのかが問題であり
動きの中でつけた筋肉ならまだしも、固定された状態やただ単に重いバーベルを上げる動作でつけた筋肉では
実際の動作に結びつけることは非常に難しい。
皮肉なことに、いい動作とは何時、如何なる時でも力を入れないで動き続ける状態のことであり
悪い動作とは、常に力を入れ続けて動いている状態のことである。
あのウサイン・ボルト選手ですら
ぼろ負けしたジャマイカ選手権での走りを観たら
思いっきり歯を喰いしばりガチガチの身体で走っているのだ。
いくら世界記録保持者のボルト選手であっても
歯を喰いしばって走るとなると筋肉が硬直状態になりいい動作など出来るわけがない。
そして、ボルト選手の最大の強みである『骨身に任せた動き』が出来ないのである。
ロンドンオリンピックでのボルト選手の走りを何度か観たが
200mの決勝の走りをもし100mで走れたら9秒5台で走っていたと思う。
特に、200mのコーナーワークでの身のこなし方はバツグンで惚れ惚れする動きであった。
あれだけのリラックス状態を作ることで鎖骨周りの動きがスムーズに行える。
どれくらいリラックスできていたのかはボルト選手の唇や頬の揺れ方を観れば分かるはずだ。
鎖骨は胸骨と肩甲骨に連動しており、鎖骨を動かすことが出来ればほぼ上半身を楽に動かすことが出来る。
そして、肩甲骨が動き出すと連動して骨盤も動くので体幹部で作られたパワーを末端部の腕や足に流すことができる。
今回、ボルト選手の走りで良かった点は腕振りである。
まだ少し腕を振るときがあるが
昨年のテグ世界選手権より腕を振らなくなっている。
腕は振るものではなく、振られるもであると同時に、
まるで船の錨のように扱うことでより体幹部の力を有効的に使えるようになる。
このあたりの感覚が分かる人は、腕の扱い方がしっかりと分かっている人である。
腕を振らないと走れない、前に進めないと思っている人は残念だが腕の捉え方を間違っている。
それこそ腕の筋肉を鍛えすぎて全身のバランスを崩していることに気がついていない。
100mでのボルト選手の走り方は非常に固かった。
フライングの恐怖もあったであろうし
勝ちたい気持ちが強くあったから仕方がない部分もたくさんあったと思うのだが
200mでみせたあの素晴らしい動作で100mを走ったら面白いレースと記録が出たことは間違いないであろう。
2位のブレイク選手、3位のガトリン選手、4位のゲイ選手は
壊れたダンプカーのごとくパワーで押し切って走るタイプの選手達で日本人が真似をしてもケガをするだけで無理である。
その中でボルト選手だけが、鎖骨や肋骨、肩甲骨&骨盤を上手に動かして
別次元の走り方で後半ごぼう抜きをして優勝した。
我々、日本人が黒人選手の柔らかい筋弾力性を羨ましがってもなれないものはなれない。
同じように筋トレに励んでも同じような結果には決して結びつかない。
今までのトレーニングの延長線上に好記録の期待はない。
同じ道を歩むのではなく
我々、日本人にしか出来ない動作を追い求めていく方が私は近道だと思っている。
”コツを掴む”
と私達はよく言葉で話すがこのコツを掴むとは『骨を掴む』ことを指す。
筋トレや補強や体幹トレーニングをしてしまうと骨格を動かすことが非常に難しくなってしまう。
何度も書いていることだが体幹部を固めてしまうと全身の動作が連動しなくなる。
そんな身体を作り上げてしまったら最後、筋肉しか使えない身体になってしまう。
ケガのリスクが多くて、いい動作を長くすることが非常に難しくなるのだ。
鎖骨周りは、いろんな腱で繋がっており
この部分を柔らかくするためにはいろんな順序を得てほぐしていかなければならない。
その昔、道場破りが来た際には
お師匠さんが相手の鎖骨の窪みを指で引っ掛けて、そのまま地面に押さえつけて瞬時にやっつけしまったらしい。
鎖骨周りは痛いのでみんな敬遠するのだが
それは鎖骨が素晴らしい動作を生み出す部分であることを知らないからなのだ。
鎖骨周りを柔らかくすること自体結構難しい作業なのに
今のトレーニングでは真逆の固めることに精を出してトレーニングをしている。
おまけに大胸筋や三角筋や僧帽筋を固めてしまうと
ほぼ体幹部の力を有効的に使うことは難しいと思った方がいい。
そして、骨盤周りの筋肉も同様で固めてしまえばしまうほど
骨盤を動かすことが難しくなるので足の筋肉しか頼るものがなくなりケガの発生が増えてしまう。
骨盤周りの筋肉の鍛え方を間違えてしまうと
『仙骨』の上手な使い方など夢のまた夢の世界になってしまう。
できるだけ筋肉を固めるのではなく
柔軟に柔らかくして骨組みが動きやすい身体作りをして欲しい。
その第一歩として骨ストレッチに取り組んで戴ければ幸いである。
骨ストレッチは、親指と小指で骨を掴みながら動作を行う。
鎖骨ひねりストレッチを行ってもらえれば骨組みを活用するだけで動作が一変することを誰もが体感する。
骨を掴みながら身体を動かすことにより
身体から”カ・ラ・ダ”の使い方を教わるのである。
身体が動きたがっている動作を”カ・ラ・ダ”から教わる作業がトレーニングである。
脳の介入をさせないで身体の発している声なき声を身体感覚で掴んでいくのがトレーニングの最大の目的なのである。
”骨身に任せる、、、”
おそらく”ゾーン”に入っている状態というのは
まさに骨身に任せてリラックスして動いている状態なのだと思っている。
筋肉が緩み、骨組みが上手く身体を動かしてくれているので余計なことをしなくていい状態であるからこそ
冷静に、まるで坐禅でも組んで座って(ハラを据えている状態)いるかのごとく正観して動作を観ていられる自分がいるのだ。
また、骨組みが上手くことにより
当たり前だが体幹部の中心が動くため筋肉が無理なく自然な状態で動いてくれる。
すなわち、力を込めた力の出し方ではなく、
体幹部の中心で生まれた自然な力が手足に流れていく力の出し方になる。
つまり、筋出力を上手に発揮するためには
骨組みを上手く活用した方が楽にスムーズに出来るのである。
骨組みが上手く使えるようになれば
今度は身体の重さ、つまり体重を使いこなせるようになってくる。
腕の重さ、足の重さ、そして頭の重さ、、、
これらの自体重を使いこなせるようになると
今までとは全然違う次元の動作が出来るようになってくる。
この辺りのお話は、また機会があればお話したい。
見れる範囲でいろんな選手の動きを観て楽しんでいた。
それと同時に日本人選手の動きと比較していた。
特に、陸上競技での身体の動かし方の違いにはうつむくしかなかった。
一生懸命に前に進もう、進みたいという気持ちは嫌というほど画面から伝わってくるのだが
肝心要の身体の動きは悲鳴を上げていて苦しそうで苦しそうで壊れてしまわないかと心配した。
外人選手に勝つ為には、それ相応の筋力がないと勝てないということで
ウェイトトレーニングや補強(腹筋・背筋・腕立てなど)や体幹トレーニングを積み重ねてきたのであろう。
外見上は、逞しい身体になったのかもしれないが以前よりも『動ける身体』に進化したのかと問われればNOとしか言えない。
その答は、試合の結果が物語っている。
いくら筋肉をつけたとしても、その筋肉を使いこなしているのかが問題であり
動きの中でつけた筋肉ならまだしも、固定された状態やただ単に重いバーベルを上げる動作でつけた筋肉では
実際の動作に結びつけることは非常に難しい。
皮肉なことに、いい動作とは何時、如何なる時でも力を入れないで動き続ける状態のことであり
悪い動作とは、常に力を入れ続けて動いている状態のことである。
あのウサイン・ボルト選手ですら
ぼろ負けしたジャマイカ選手権での走りを観たら
思いっきり歯を喰いしばりガチガチの身体で走っているのだ。
いくら世界記録保持者のボルト選手であっても
歯を喰いしばって走るとなると筋肉が硬直状態になりいい動作など出来るわけがない。
そして、ボルト選手の最大の強みである『骨身に任せた動き』が出来ないのである。
ロンドンオリンピックでのボルト選手の走りを何度か観たが
200mの決勝の走りをもし100mで走れたら9秒5台で走っていたと思う。
特に、200mのコーナーワークでの身のこなし方はバツグンで惚れ惚れする動きであった。
あれだけのリラックス状態を作ることで鎖骨周りの動きがスムーズに行える。
どれくらいリラックスできていたのかはボルト選手の唇や頬の揺れ方を観れば分かるはずだ。
鎖骨は胸骨と肩甲骨に連動しており、鎖骨を動かすことが出来ればほぼ上半身を楽に動かすことが出来る。
そして、肩甲骨が動き出すと連動して骨盤も動くので体幹部で作られたパワーを末端部の腕や足に流すことができる。
今回、ボルト選手の走りで良かった点は腕振りである。
まだ少し腕を振るときがあるが
昨年のテグ世界選手権より腕を振らなくなっている。
腕は振るものではなく、振られるもであると同時に、
まるで船の錨のように扱うことでより体幹部の力を有効的に使えるようになる。
このあたりの感覚が分かる人は、腕の扱い方がしっかりと分かっている人である。
腕を振らないと走れない、前に進めないと思っている人は残念だが腕の捉え方を間違っている。
それこそ腕の筋肉を鍛えすぎて全身のバランスを崩していることに気がついていない。
100mでのボルト選手の走り方は非常に固かった。
フライングの恐怖もあったであろうし
勝ちたい気持ちが強くあったから仕方がない部分もたくさんあったと思うのだが
200mでみせたあの素晴らしい動作で100mを走ったら面白いレースと記録が出たことは間違いないであろう。
2位のブレイク選手、3位のガトリン選手、4位のゲイ選手は
壊れたダンプカーのごとくパワーで押し切って走るタイプの選手達で日本人が真似をしてもケガをするだけで無理である。
その中でボルト選手だけが、鎖骨や肋骨、肩甲骨&骨盤を上手に動かして
別次元の走り方で後半ごぼう抜きをして優勝した。
我々、日本人が黒人選手の柔らかい筋弾力性を羨ましがってもなれないものはなれない。
同じように筋トレに励んでも同じような結果には決して結びつかない。
今までのトレーニングの延長線上に好記録の期待はない。
同じ道を歩むのではなく
我々、日本人にしか出来ない動作を追い求めていく方が私は近道だと思っている。
”コツを掴む”
と私達はよく言葉で話すがこのコツを掴むとは『骨を掴む』ことを指す。
筋トレや補強や体幹トレーニングをしてしまうと骨格を動かすことが非常に難しくなってしまう。
何度も書いていることだが体幹部を固めてしまうと全身の動作が連動しなくなる。
そんな身体を作り上げてしまったら最後、筋肉しか使えない身体になってしまう。
ケガのリスクが多くて、いい動作を長くすることが非常に難しくなるのだ。
鎖骨周りは、いろんな腱で繋がっており
この部分を柔らかくするためにはいろんな順序を得てほぐしていかなければならない。
その昔、道場破りが来た際には
お師匠さんが相手の鎖骨の窪みを指で引っ掛けて、そのまま地面に押さえつけて瞬時にやっつけしまったらしい。
鎖骨周りは痛いのでみんな敬遠するのだが
それは鎖骨が素晴らしい動作を生み出す部分であることを知らないからなのだ。
鎖骨周りを柔らかくすること自体結構難しい作業なのに
今のトレーニングでは真逆の固めることに精を出してトレーニングをしている。
おまけに大胸筋や三角筋や僧帽筋を固めてしまうと
ほぼ体幹部の力を有効的に使うことは難しいと思った方がいい。
そして、骨盤周りの筋肉も同様で固めてしまえばしまうほど
骨盤を動かすことが難しくなるので足の筋肉しか頼るものがなくなりケガの発生が増えてしまう。
骨盤周りの筋肉の鍛え方を間違えてしまうと
『仙骨』の上手な使い方など夢のまた夢の世界になってしまう。
できるだけ筋肉を固めるのではなく
柔軟に柔らかくして骨組みが動きやすい身体作りをして欲しい。
その第一歩として骨ストレッチに取り組んで戴ければ幸いである。
骨ストレッチは、親指と小指で骨を掴みながら動作を行う。
鎖骨ひねりストレッチを行ってもらえれば骨組みを活用するだけで動作が一変することを誰もが体感する。
骨を掴みながら身体を動かすことにより
身体から”カ・ラ・ダ”の使い方を教わるのである。
身体が動きたがっている動作を”カ・ラ・ダ”から教わる作業がトレーニングである。
脳の介入をさせないで身体の発している声なき声を身体感覚で掴んでいくのがトレーニングの最大の目的なのである。
”骨身に任せる、、、”
おそらく”ゾーン”に入っている状態というのは
まさに骨身に任せてリラックスして動いている状態なのだと思っている。
筋肉が緩み、骨組みが上手く身体を動かしてくれているので余計なことをしなくていい状態であるからこそ
冷静に、まるで坐禅でも組んで座って(ハラを据えている状態)いるかのごとく正観して動作を観ていられる自分がいるのだ。
また、骨組みが上手くことにより
当たり前だが体幹部の中心が動くため筋肉が無理なく自然な状態で動いてくれる。
すなわち、力を込めた力の出し方ではなく、
体幹部の中心で生まれた自然な力が手足に流れていく力の出し方になる。
つまり、筋出力を上手に発揮するためには
骨組みを上手く活用した方が楽にスムーズに出来るのである。
骨組みが上手く使えるようになれば
今度は身体の重さ、つまり体重を使いこなせるようになってくる。
腕の重さ、足の重さ、そして頭の重さ、、、
これらの自体重を使いこなせるようになると
今までとは全然違う次元の動作が出来るようになってくる。
この辺りのお話は、また機会があればお話したい。